あるインドにいた時の夜、僕は遊びに来ていた学校の屋上に上がった。

そこでは、子どもたちが輪を作って楽しそうにおしゃべりしていた。

その時、僕は呆然とその光景を見て立ち尽くしていた。



衝撃だった。すごい衝撃だった。



何気ない子どもたちが遊んでいるだけの風景でしかない。 
でも、僕はハッキリと感じてしまった。









「この子たちには無限の可能性がある。」


「・・・僕は、この子たちに勝てない。どうやっても。」



その時、僕は22歳だった。まだまだ若者だったと思う。 
でも、その光景はハッキリと僕に教えてしまった。


全ての子供が備えている、純粋無垢でまばゆいばかりの可能性を。
それはもう決して、自分が得ることができないものだということを。




 僕は、自分の可能性が既に減りつつあり、今後も減っていくことしかないことを悟らざるを得なかった。

どうあがいても、目の前に輝く可能性にはもう勝てないのだ。






・・・ そうであるならば、自分に何ができるのだろうか。この生涯で。





一つしかない。


僕は、僕のできることを成し遂げ、次に繋ぐしかないのだ。
リレーのバトンの受け渡しのように。



今でも忘れない。

子どもたちが笑いながら輪になって寝転がっていて、

その横で、僕が、ただただ呆然と立ち尽くしていた、あの光景を。


僕は、自分の限界を見てしまったような気がした。
もう二度と、あの子どもたちに追いつけないのだ。
だから、次に繋げることしかできない。
そう遠くない日に、僕はそうすることしかできなくなる気がする。


そんな、心に焼き付いて離れない光景を、ふと思い出した。